マイナス金利の時代は、投資教育が重要に
先日、このような記事を見ました。この中で、一部へぇと思ったことを書きます。
日経電子版2016年5月12日記事
米国の経験が示唆 個人型DC、法改正で急拡大も |マネー研究所|NIKKEI STYLE
日本では、投資をするくらいなら、元本確保型にするという方が多いです。それは確定拠出年金のような税金面で有利な場合でもそうなのです。スーパー定期の利率は、10年間でも、年0.010%です。元本確保型ではもったいない話です。
日本では保有金融資産の過半が現預金です。DCでの運用も元本確保型に偏っています。米国ではどうですか。
この問いに、米国の事情を答えています。
「IRAも当初は今の日本と同じように預貯金での運用が中心でした。80年当時は銀行預金が80%を占めていたのです。しかしその後、米国の株価が長期上昇に転じたことに加え、企業型DCの投資教育によって運用の重要性が浸透したことなどから、株式組み入れファンドなど投資信託での運用の比率が高まっていきました。日本も今後そうした道筋をたどることが期待されます」
アメリカは、投資中心の国かと思っていましたら、違っていたのですね。80年当時は「銀行預金が80%を占めていた 」とのことです。今の日本と同じく預貯金での運用が中心だったのです。
確定拠出年金のような税金面で優遇されている箱が用意されているのに、その箱に元本確保型を入れておくくらいなら、そのお金で住宅ローンを返してしまったほうが余分な利息を払わなくてすみます。
住宅ローンの利率は下がってきていますが、それでも自分が一体、どれくらい返済しているのか。返済額のうち、元本はいくらか、返済利息はいくらかを見て下さい。
元本確保型に入れて、運用益が1,000円にしかならないのに、それなのに住宅ローンの利息に100万円払っているということもあるのです。それなら、税金面で有利な確定拠出年金には、リスクを取って、老後になった時の運用益が100万円くらい出るようにしたほうがいいですね。
マイナス金利とは、元本確保型の預貯金では損だから、投資に向かってお金を動かしてましょう、という意味です。お金を借りることや預貯金ではなく投資にお金を向けることです。
しかし、日本人の元本確保型が好きなのは、統計にも表れているのでなかなか変わらないのかもしれません。
金融広報中央委員会の平成27年「家計の金融行動に関する世論調査」
家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査] 平成27年調査結果 : 知るぽると
あなたのご家庭では、保有する金融商品を決める場合に、どのようなことに最も重点をおいて選んでいますか。
金融広報中央委員会の平成27年「家計の金融行動に関する世論調査」によりますと、この問いに対して、「元本が保証されているから」が1位です。
金融商品を選択する際に重視すること<問5>の問いは、どの年代でも1位が元本が保証されているからです。20代から70代以上でも、です。
そして、今後保有を希望する金融商品も、預貯金が 47.7% で1位です。
さらに、質問を見ていきますと、
元本割れを起こす可能性があるが、収益性の高いと見込まれる金融商品の保有について、「そうした商品を保有しようとは全く思わない」が 80.2%と最も高かった
アメリカでも、「企業型DCの投資教育によって運用の重要性が浸透した 」とのことですから、投資教育は日本でも重要になっていくでしょう。老後のための積立を現役時代にやったとしても、とてもじゃないですが、利息が0.01%の運用では、運用益でまかなえません。
このような元本確保型が好きな人でも、なぜか突然、リスクが高すぎる商品、よくわからない金融商品を買うこともありますから、投資教育は大事でしょうね。
なにを選ぶかは、自己責任ですから最低限の知識も必要です。
ただ、元本確保型だけにこだわるのも考えものです。リスクを取ると、元本割れするではないか!と言われることもありますが、投資のプロのような日々研究している人でも負けたこと無いなんてあり得ません。
長く持っている間には、投資信託を買っていて損したことない、なんてことはあり得ないのです。儲けた時に解約するなどで時期をみる、長期保有して時期を見る、分散して買うなどしてリスクを減らしていくのです。
参考
リスクを取るのは嫌だというなら、せめて借金を返すということにお金を回したほうがいいでしょうね。特に、勤労者なら定年を過ぎてまで、住宅ローンを返すというほうが安全性に欠ける、危ないことですから。