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埼玉のファイナンシャルプランナーのブログ

ファイナンシャルプランナー用雑記帳、専門家の視点で気になったことを書きます



選択制確定拠出年金で選ぶと、社保料も減るが育児休業給付も減る

給与内枠での選択制確定拠出年金の場合のみの話

以前にも書いたのですが、いわゆる選択制確定拠出年金の問題点の話です。それも、「給与内枠選択制確定拠出年金」の話です。

 

以前にちらっと選択性のほうの確定拠出年金について書いた記事

5人の著者による確定拠出年金のトークライブ(八重洲ブックセンター)

 

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確定拠出年金の中には、企業型確定拠出年金と、個人型確定拠出年金があります。

 

企業型確定拠出年金は、会社が掛け金を払ってくれるので、個人型のように「自腹を切る」ことがありません。

 

ただし、企業型確定拠出年金のなかで、「選択制」と呼ばれるものには、注意が必要です。

 

この「選択制」という言葉ですが、人によって、まったく別の意味で使っている場合もあるのです。従業員の中でやるか、やらないかを決めることができるという意味(選択できるという意味)での「選択制」ということもありますが、今回の話は、「給与内枠選択制確定拠出年金」の話です(もちろん、企業型です)。

 

会社側が一律に上乗せして、それを現金で受け取るか、確定拠出年金に回すかという意味での選択制としての確定拠出年金ならいいのですが、「給与額はそのまま」で、そのうちの一定額を、その範囲内で確定拠出年金の掛け金に設定するというやりかたです。

 

会社側にメリットが大きいので、このタイプを会社に勧めているコンサルタントがいると聞きます。

 

一見、従業員にもいいように感じます。給与(報酬)が掛け金の分減ったことになり、社会保険料の負担が減るからです。だから、コンサルタントの説明では、ウィンウィンだと、従業員も喜ぶ、と。

 育休の手当が減るなんてアリ?

しかし、このような問題があるのです。

401kに加入していると育児休業給付金が減る!? [出産・育児費用] All About

 

以前にも書いたように、育休で給与がないから、その期間の給付金をもらったり、病気で休職(傷病手当金)したり、失業給付を受け取ったりなど、働けなくなったときなどイザという時のために社会保険(雇用保険も)があるのですよね。

 

上記記事には、

 

先日、「確定拠出年金に入っていることで、育休中の手当(=育児休業給付金)が減ることってあるんですか?人事からそう言われて愕然としています」というご相談

という相談があったとのことです。

 

このように「イザという時に」困るのですよ。

すべての確定拠出年金がこうなるのではありません。確定拠出年金制度自体は、老後資金準備のためには、とてもいい制度です。それは、上記記事でも説明がありました。

 

すべての確定拠出年金制度で、冒頭の相談のような影響が出るわけではありません。このような現象が起こるのは、確定拠出年金の一種である「選択制確定拠出年金」においてです

 

私も以前に書いたブログの内容と同じことなのですが、会社側にはメリットあります。

しかし、一見、従業員側も社会保険料が減ってバンザイ!と思われがちですが、そうとも言えない面があるのです。イザという時の給付が減る、というデメリットが。

 

 「選択制確定拠出年金」には、社会保険料が下がることで、会社側にとっては負担が低くなるという大きなメリットがあります。一方、従業員側にとっては社会保険の受給が減る、という大きなデメリットがあることを知っておきましょう。

 

相談者は育休前で、そのようなことを直前に知ってダメージ受けているようなのですが、まだ育休なら期間が短めです。それよりも考えてほしいのが年金です。老後の厚生年金がずっと減るのですよ。人によっては、20年とか、30年とかいう単位で。

 

将来受け取る厚生年金の額が減ることが、働いている最中はピンときません。かえって、健康保険の出産手当金やら、傷病手当金、さらには育児休業給付、介護休業給付、失業した時の基本手当のほうが、減ると言われて、ええッーとなりやすいです。

 

デメリットを十分知った上で、自分が選んでいるのならともかく、これは不意打ちっぽい感じになりますね。世間では、確定拠出年金はいいよ、と宣伝されているから余計に、です。

 

上記オールアバウトの記事に書かれているような給与内での選択制の場合のみの話です。もちろん、会社側も経営が苦しいので会社が払う社保料を減らしたいとか、労使折半の社会保険料(従業員も喜ぶと思って)を減らしたいとか、従業員に退職金制度を作りたくてこれを導入したとかいろいろと理由はあることでしょう。しかし、将来の従業員の年金額を削ってまでやっていいのか、疑問です。

 

会社側が退職金の代わりにしたい、企業としての年金を作りたいというのであれば、個人型確定拠出年金の制度もあります。遅くとも来年の5月までには、中小企業を対象とした「個人型確定拠出年金への小規模事業主納付制度」も始まります。

 

従業員100人以下の中小企業の事業主の方がコンサルタントに勧められた時、こういう制度があると聞いたのだけど、うちの会社はどうかなと、聞いてみてもいいですね。もちろん、給与内枠ではなく、会社が上乗せの企業型DC制度を導入するというのなら、それはもっといいことですよ。