以前にも書いていた「選択制」なる確定拠出年金についてです。
前回、書いた記事はこちら
選択制確定拠出年金で選ぶと、社保料も減るが育児休業給付も減る
会社の中で、希望制のようにして「選択制」という意味の選択制ではなく、給与内の選択制確定拠出年金のことです。
会社側にはメリットがありますが、労働者側には、一見するとメリットあるようにみえて落とし穴がある制度です。
でも、会社もハッピー、労働者もハッピーな制度だという触れ込みです。営業トークというのか。某衣料販売会社の名前で、「○○式」とも言われています。
選択制の確定拠出年金は労働者にとって本当にいいものなのか
給与内なので、給与の額はそのままで、そのうちの一部を確定拠出年金に回すかどうかを「選択」する制度です。
社会保険料(雇用保険料含む)の負担を避けたい会社側にとっては、メリットがあります。
出る金額は同じなのに、「給与」が「減った」ことで、社会保険料(雇用保険料も)が減額になるからです。
30万円の給料だしますが、そのうち2万円を確定拠出年金の保険料に回しておくね。28万円が給料ということにしますね。
ということです。
労働者にとっても、社会保険料、雇用保険料が減ってバンザイ!と思います。
しかし、前回の記事で書いたように、老後になってから気づくとか、育休になってから気づくなどするのです。
育児休暇中の手当が減るなど、いざという時にデメリットを知るわけです。雇用保険料もですから、失業したら知るとか。
保険料が減るわけですから、年金としてもらう分も減ります。報酬比例部分があるわけですから。
厚生年金が減っていることにもつながるわけです。
若いうちは、年金はもらえるかどうかわからないからと、保険料を安くしてほしい、安いほうがいいと、この制度に賛成します。
しかし、よくよく考えると長生きするなら、損になる制度なのです(前回のブログのように、育休取ってから気づく人もいるが)。
まだ決まったわけではないが、今度は明らかになりそうな
厚生労働省では、おすすめしているものでもないのに、なぜかこれをおすすめしている金融機関があるそうです。
だから、今回厚生労働省の資料においても、「いわゆる」と書かれています。
今回、この「選択制」の確定拠出年金について、社会保険審議会の企業年金、個人年金部会でお話があったそうですよ。
厚生労働省の資料を読んだら出てました。
資料の中では、簡単にまとめられていました。
いわゆる選択型DC・選択制DC
企業年金の実施・変更、掛金の設定・変更等は、労使合意が原則必要となるが、いわゆる選択型DC・選択制DCは、労働条件の不利益変更であるとともに社会保険・雇用保険等の給付にも影響するものであり、導入に当たって事業主はこれらの点を含めて正確な説明をすべきであることを法令解釈通知に明記することとしてはどうか。
また、規約の審査を行う地方厚生(支)局は、事業主がどのような資料を用いてどのような労使協議を行ったのかを「協議の経緯を明らかにする書類」に記載させ、これらの点を確認すべきであることを厚生労働省から地方厚生(支)局に宛てた通知(審査要領)に明記し、確認の徹底を図ることとしてはどうか。
選択制の確定拠出年金は、ここにも書いてあるように、「労働条件の不利益変更」になります。
「社会保険・雇用保険等の給付にも影響」と書いてあります。
「給付」ですから、簡単にいえば、もらえるお金が減るよ、ということです。もちろん役所ですから、こんなあけすけに書きませんが、平たく言えば、もらえるお金が減るという意味です。
今までは、このような制度があるということすら、一部の人にしか知られていないように感じていましたが、このように審議会で話題になるだけでもいいことです。
労働条件の不利益変更ということが、もっと知られてもいいのでは?
しかーし、これだけ公的年金不信がはびこる現役世代ですから、年金なんてもらえないでしょ?と、イメージを植え付けられていますから、これを受け入れてしまうでしょうね。実は、経営者が望んでいることだとしても。
企業側の負担は、少しでも減らしたいですから。
そもそも、「事業主はこれらの点を含めて正確な説明をすべきである」と書いてありますが、事業主が「正確な説明」をするのでしょうか?
これ幸いと、バイアスかかった説明になりませんか。
労働者も「朝三暮四」ではないか?と労使協議で指摘しますか?どうでしょう。