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老齢年金で、いまだに間違って理解されている部分

 特別支給の老齢厚生年金と、繰り上げの年金を混同

このブログでも何度か書いてきたことですが、年金事務所で相談業務のお手伝いにいっている人に聞きますと、いまだに多いそうなのです。この誤解。

 

年金を受けられる年齢というのが、生年月日によってちがいまして、年金相談に行きますと、年金見込額の用紙に印字されています。

 

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 厚生年金保険に1年以上加入したことのある人でしたら、現在、年金受給者になろうという年齢くらいの人ならば、特別支給の老齢厚生年金が出ます。

 

現在、若い人たちは65歳から年金受給開始となりますが、おまけみたいなものです「特別支給の老齢厚生年金」というものは。

 

この特別支給の老齢厚生年金は、「特別」なので、本来は65歳からなのです。65歳になりますと、特別支給の老齢厚生年金は失権して、本来の、老齢基礎年金と老齢厚生年金が支給されるようになります。

 

しかし、それを65歳より前に年金をもらうと損をすると聞いたとか、在職中だと年金が減らされると聞いたので、辞めてからもらうだとか、勘違いしている例が多いです。

 

しかし、本来の年金の繰り上げ支給と違いまして、これは特別支給の老齢厚生年金です。特別支給の老齢厚生年金を今もらわないで、65歳過ぎてからもらっても何のメリットもありません。在職中で年金がまったく出ない人でも、退職したらすぐに年金がでるように、日本年金機構から封筒が来たら、手続きだけでも先にすすめておいたほうがいいです。

 

なお、在職中の年金額の試算も年金事務所のコンピュータで出してもらったほうが正確なものが出てきます。

 

もちろん、特別支給の老齢厚生年金も年金受給のための資格期間を満たしている必要があります。現在は、25年ですが、平成29年8月から10年に短縮予定です。

 

それと特別支給の老齢厚生年金は65歳前から支給と書きましたが、生年月日によって開始年齢が違いますから、その年齢になってから、となります。たまに、離婚時の年金分割制度で、年金分割したのに、年金が振り込まれないという人がいますが、自分自身の年齢が若いうちは年金分割したとしても振り込まれませんよ。

 

このように年金の仕組みは人によっても違うので、あの人からこう聞いたとしても自分もそうなのかは、別問題となります。

 

本来の年金の繰り上げと、特別支給の老齢厚生年金をごっちゃにしている人が多いので、自分は関係ないと思わずに、自分のご両親の年金についても関心をもってあげてほしいなと思います。

 

配偶者の加給年金と振替加算

これも誤解している部分が多いところです。しかし、加給年金がある、ということは、けっこう知られているようです。

 

ただ、注意する点としては、夫婦ともに厚生年金保険20年以上の加入となった場合です。年金の手続きが遅れると、過払いとなって、後から返還という例があるそうなのです。

 

配偶者加給年金は、本人の厚生年金保険、共済年金の加入期間が20年以上あることという条件があります。それで、その配偶者が65歳未満であること、年収が850万円未満であることとなります。

 

今までは夫と専業主婦が多かったので、気にすることが少なかったのですが、最近、共働き夫婦が増加しています。配偶者も厚生年金保険の加入期間が20年以上の場合、配偶者が年金を受給できるようになると配偶者の加給年金は支給停止になります(配偶者の年金が全額支給停止の場合を除く)。

 

夫が20年以上の加入者で年金をもらっていたとして、妻が加入期間が19年11ヶ月までは出ているのですが、妻の加入期間が20年以上となったら、夫についていた加給年金は停止、となります。

 

今までは夫が20年以上厚生年金保険に加入して、妻は専業主婦なので20年以上厚生年金保険に加入していないので、妻が65歳になるまで加給年金がつき、妻が65歳になったら、振替加算として、今度は妻の年金に振替加算がつきます。

 

ただ、上記の例で妻が年上だった場合(妻は専業主婦の例)、夫に加給年金が支給される時には、妻が65歳以上になっていますから、加給年金はもらえません。妻につく振替加算は、夫が65歳になったら振替加算がつきますが、手続きが必要です(妻が年下の場合より、けっこうこの手続きが忘れやすい)。

 

さらに、共働きパターンです。

 

夫も妻も20年以上の加給年金となりますと、加給年金はでませんが、たまについている場合があります。妻の65歳までの年金が全額支給停止となっている場合です。例えば、妻の年収が高くて在職中の年金が全額支給停止だったとか、雇用保険の失業給付を受給していたなどです。

 

夫婦ともに20年以上の場合、速やかに手続をしておかないと、配偶者の年金に加算された加給年金が支給停止になっていない、ということがあるのです(当然ながらいずれわかりますので、過払いとなり、返還になります)。

 

たとえば、夫が年金受給の手続をして妻が年金の手続きを65歳までしていなかったため、夫に加給年金がついたままになっていた、という例もあったそうです。

 

これがまたややこしいことに、共済年金との一元化前と後では話が違ってきます。20年のカウントが異なるのです。

 

一元化前に夫が厚生年金保険15年共済年金15年だったとすると、厚生年金保険20年になっていませんので、加給年金は出ません。

 

ただし、一元化後でしたら、足し算しますので、20年以上という条件を満たして、加給年金が出ます。

 

これと逆に、一元化前に、夫が厚生年金保険に20年以上で、妻が厚生年金保険に10年で国家公務員共済組合に10年、私学共済に10年だとしたら、厚生年金に20年になりませんので、この妻には振替加算が付いています。

 

このように、単純に厚生年金加入期間が20年以上と言っても、それが一元化前だったのか、一元化後の話なのかでも変わってきてしまうので、注意が必要です。

 

どちらにせよ、年金事務所で前もって相談しておくのが一番です。前もってわかっていれば対処できることも多いからです(これは遺族年金をもらっている妻の老齢年金の場合は特に、です。自分自身が老齢年金をもらうようになったら、話が変わってきてしまうので、早めに相談しておくのがいいです)。