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老齢年金のことで、とてもよく聞く誤解

先日、ある年金相談の相談内容を見ていました。

 

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またもや、誤解しているなぁと思ったこと。「特別支給の老齢厚生年金」と、本来の老齢厚生年金や老齢基礎年金とごっちゃになっていることです。

 

60歳になって、日本年金機構から年金請求書と、なんだかいろいろ説明が書いてある用紙が来たと、なんだろうと思うわけです。

 

しかし、その時友人やら、近所の人やらから聞いた話として出てくるのが、「60歳から年金をもらうと減らされる」というパターンか、「妻が年金を受けると、夫の年金が減らされる」というパターンです。これは、正しくもあり、正しくないこともあり、です。

 

特別支給の老齢厚生年金の請求(年金事務所での手続きのこと)

 

まず、昭和36年4月1日以前の生まれの男性

昭和41年4月1日生まれ以前の女性でしたら、

「特別支給の老齢厚生年金」がもらえる可能性があります。

 

可能性と書いたのは、人によって違うからです。25年以上年金保険料払っているなど(生年月日によって年数は25年より短い場合もあり)「受給資格がある人」で、なおかつ、「1年以上」の厚生年金保険に加入している場合、「特別支給の老齢厚生年金」が出ます。

 

しかし、この「特別支給の老齢厚生年金」は、本来の老齢年金と違います(本来の老齢厚生年金のほうは、1年ではなく、1ヶ月の加入でも受給資格があれば、老齢厚生年金の部分が出ます)。

 

テレビ番組や巷でよく聞くのが、年金の「繰り上げ、繰り下げ」の話です。

 

繰り上げてもらうと、年金は一生減額されます。1ヶ月で0.5%、1年ですと6%の減額です。

 

それに対して、繰り下げは、1ヶ月遅く受け取れば、0.7%、1年で計算すれば、8.4%にの増額になります。

 

繰り上げてもらうと、減額されるだけでなく、他にもいろいろな不利な点があるために、年金繰り上げは、注意するべきことがありますし、年金事務所でも、本当にそれでいいのかと、チェックが入ります(後になってから、繰り上げて困ったことになった時、そんな説明は聞いていなかったと言われるためでしょう)。

 

それはそれで、年金の繰り上げは損することが多いよ、ということが知られていいのですが、どうもその話と「特別支給の老齢厚生年金」がごっちゃになっているようなのです。

 

60歳から年金もらうと年金が減らされるという話を聞いたから、「変な手紙が日本年金機構から来たけど、手続きしないほうがいいわよね。年金が減額になるから」ということになるようなのです。

 

老齢年金の繰り上げ、繰り下げと、「特別支給の老齢厚生年金」は別物と思って下さい。

 

現在、日本年金機構から緑色の封筒で書類が送られて来た人は、「特別支給の老齢厚生年金」の手続きをしてください、という手紙です。

 

「特別支給の老齢厚生年金」の場合、65歳から受給として繰り下げしても増額しませんし、書類が送られてきて、この手続きをしたからといって、「年金繰り上げ」とされて年金減額になるものでもありません。

 

年金の繰り上げ、繰り下げをしたい場合は、別の用紙を提出することになります。

配偶者の加給年金と振替加算

それと誤解が多いのは、夫の年金に加算された配偶者の加給年金です。これは、妻が65歳になるとなくなります。代わりに、妻の老齢基礎年金のほうに振替加算が付きます。

 

これらは、生年月日によって違います。

 

夫が20年以上厚生年金に加入して年金をもらい、妻が65歳未満の場合に、家族手当のようなイメージなのですが、「加給年金」がつきます(夫の特別支給の老齢厚生年金の定額部分が出ている、本来の老齢年金が出ている人の場合です)。

 

なお、妻が65歳未満であっても、妻が障害年金を受給している、妻も20年以上加入した老齢厚生年金を受給できる時は、加給年金は付きません。

 

「妻が65歳になったら、ワシの年金が減っとる」と夫が騒ぐことがありますが、これは妻の老齢基礎年金のほうに振替加算がついているから、ということになります。

 

それと、加給年金の金額のほうが多いので、なぜ、この振替加算の部分の金額は低いのと、思われるかもしれませんが、妻の老齢基礎年金が出ているからです。

 

二人の年金を合算して、夫婦トータルで考えると、どうなりますか?

 

あと、これも誤解から来るようなのですが、「妻が年金の手続きをしないで、老齢年金をもらわないようにすれば、加給年金がついた年金額でもらい続けることが出来るよね?」と、考える人がいるようですが、これも、年金請求(手続きをすること)しなくても、配偶者が65歳になったら、受け取ることができません。

 

妻が老齢基礎年金もらっていないから、加給年金もらえるんじゃないかと勘違いされるようですが、妻が手続きをしていないから加給年金をもらい続ける、ということではありません。

 

とにかく、大切なことは、年金は人によって違う、ということです。

 

近所の○○さんの場合は、こうだった、という人もいますが、あなたは違います、という結果になりがちです。

 

配偶者の有無、配偶者の生年月日、性別、加入していた年金制度、加入していた期間などなど、それらを全部聞かないと、Aさんの場合は、こうですが、Bさんの場合はこうなります、という別々の答えになります。

 

自分の場合はどうなるのか、心配な場合は、人によって、配偶者の生年月日によっても答えが違ってくるので、ネットでの質問コーナー、例えば、教えてなんとかや知恵袋とかで聞くよりも、年金事務所で聞いたほうが確実です。