埼玉のファイナンシャルプランナーのブログ

ファイナンシャルプランナー用雑記帳。専門家(DCプランナー1級取得)の視点で少額から始める投資、新しい技術、新しい製品など好奇心の赴くままを書きます



年金のことで不安を煽りたいのだろうけど、マスコミは制度を説明してほしい

年金は免除や猶予制度も説明してほしいと朝日新聞の記事に言いたい

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年金のことを報道するたびに思うのですが、不安を煽るだけでなく、きっちり今ある制度の説明をしてほしいものです。

 

今回の選挙にからんで朝日新聞の記事をみたのですが、年金の制度の説明は全体的な、俯瞰するものだけで(賦課方式とかマクロ経済スライドのこと)、特に現役世代にとって年金制度の持続を不安視させるような内容だと思わざるを得ませんでした。

 

2017年10月19日付、朝日新聞記事より

 

(政策を問う 2017衆院選)年金、生活の支えに不十分 現役世代は制度に懐疑的:朝日新聞デジタル

 

 実際に今年金で暮らしている人の話が冒頭に載っていまして、最初は、仕事を転々とした人が、55歳の時点で、年金保険料を納めた期間が12年しかなく、25年(その当時)受給資格期間を満たすために厚生年金加入の会社に入って、72歳まで働いたという話でした。

 

厚生年金なら、会社負担分もありますから有利です。2階建て年金の1階部分とともに2階の部分も増やせます。

 

そこまで働いたのに、月々の年金が13万円ほどで、家賃、食費、光熱費などでほぼ消えるという話でした。

 

今若い人たちは、非難しているがいずれ自分が「自己責任」と言われるかもしれない

こういう年金世代の話をすると自己責任とか言われますが、起業したものの商工ローンの返済に追われていたとのことなので、なかなか自営業も大変なのです(この人はその後、タクシー会社に勤務などしていますが)。

 

それに対して現役世代でも苦しい中、年金保険料を支払わないといけないという話が記事に出ています。

 

現役世代も不安を抱える。国民年金に加入義務がある都内の女性(23)は、20歳からほとんど保険料を払っていない。専門学校卒業後、19歳で大手居酒屋チェーンを経営する会社に正社員として入ったが、勤務がきつくて退職。その後、スーパーなどでアルバイトとして働いてきた。  

 

収入は月20万円前後。家賃、住民税、専門学校の授業料に充てたローンなどを支払うと、現在は月1万6490円の保険料を支払う余裕はなかった。「自分の生活を圧迫してまで高齢者のために保険料を払う意味があるのか」。年金制度が持続して将来自分が受け取れるか懐疑的でもある。

 

これ、さっと読むと、よくある話にされてしまいそうです。

 

現役世代の人の話は、これで終わりです。これだけ。

 

先ほどの年金世代が、現役時代に自営業で商工ローンに追われたように、学費をローンで払っています。家賃、住民税など払うと年金保険料を払う余裕がないということ。

 

上記のとおり、月の収入は20万円ほど。専門学校卒業後は、正社員で入社したものの(おそらく厚年)その後はスーパーなどでアルバイト生活だということです。

 

「自分の生活を圧迫してまで高齢者のために保険料を払う意味があるのか」。年金制度が持続して将来自分が受け取れるか懐疑的でもある

 

思っている人があまりにも多いです。やんわりと書いていますが、要は、年金制度は破綻するんじゃないの、でしょう。

 

高齢者も生活に余裕がないですが、この人もいずれ年をとります。その時にまた、同じように、「自己責任」と言われるのでしょうか。

 

今は、人手不足で職に就くのに困らないのに、年金保険料を納めなかったからだ!と、この人よりもっと若い世代の人に言われるかもしれませんね。

 

でも順番に、次の世代へ次の世代へと、自己責任と非難して終わり、でいいのでしょうか。

 

年金制度が破綻する時は、日本が破綻するときでしょう。ギリシャ危機の時にだって、あれほど騒がれましたが、年金は支払っていました。(銀行閉鎖をしても1日だけ、年金を引き出せるようにしたとかありました)。日本がそうなっても、それでもなんとか年金制度は継続していくと思っています。あまりにも影響が大きいからです。

 

年金制度が破綻するかどうかよりもこの記事で気になったのは、年金制度の仕組みについては、その後説明がありますが、この人が若者世代、現役世代の代表みたいになっていて、年金の免除などの制度に対するフォローがないのです。

 

 これじゃ、そうだ、そうだと思われて終わりです。

 

この人のように生活がぎりぎりで保険料を納めたら、今度は自分が餓死しちゃうわという人もけっこういますよね。

 

でも、この記事のように、仕送り方式だとか、マクロ経済スライドで実質目減りの話もいいですが、保険料を納めることが難しい人のための制度があることも、ちょっと付け加えてほしいです。

 

ここに出てきた人も、記事を読む限り、免除だとか、猶予だとかの制度を知らないようだからです。免除制度を利用しているなら、「ずっと免除されたまま」とか書くでしょうから(せめて、取材した記者がこの人に免除や猶予の制度があることを教えてあげていると、信じたい)。

 

制度を知らないことがいかに怖いか。障害年金の学生無年金障害者訴訟のことを思うと、せっかくの制度があるのに、利用しないのは、もったいないです。

 

生活が苦しい人は未納のままにしないで、国民年金保険料免除もしくは納付猶予制度の手続きをしましょう!

朝日新聞のあの記事にフォローがないので、ここに書いておきます

 

保険料免除や納付猶予になった期間は、年金の受給資格期間には算入されますし、障害年金に結びつきます。

 

ただ、障害年金は出ても、老齢年金の年金額の計算では保険料を払った人と同じにはなりません。

 

免除ですと保険料を納めた人に比べて2分の1(平成21年3月までの免除期間は3分の1)になります。税金分は、出るということです。だれでも消費税は払っているのですから、年金保険料を滞納するとこの税金分は捨てることになります。

 

納付猶予になった期間は年金額には反映しません。

 

保険料免除の場合は、税金分は年金がでますので、それだけ制限がありまして、本人、世帯主、配偶者の前年所得が一定以上あるとできません。それだけ金銭的余裕があると思われるからです。

 

20歳から50歳未満の人の場合、納付猶予制度が使えます。これは本人もしくは配偶者の前年所得によって決まりますから、生活が苦しいという人なら比較的この制度が使えるでしょう。この他、学生納付特例制度もあります(学生納付特例制度は本人の所得のみを見て判断します)。

 

ただし、受給資格期間には反映されますし、障害年金にも結びつきますが、先に書いたように老齢年金を受給するときは、あとから納めないかぎり空っぽの期間となってしまいます。

 

この記事を読んで、そうだそうだ、年金はもらえるかどうかわからないものだから、払うのはバカらしい、に導くような記事では、さらに困る人を増やすだけです。

 

少しでいいから、免除や猶予制度に触れてもらわないと、「滞納」の人を増やすのでは本人にとっても損です。制度を知らないことも自己責任なのでしょうか。

 

今の高齢者は恵まれていると言われるかもしれませんが、自営業と会社員の年金の格差もあります。

 

特に国民年金の受給額は満額でも月6万5千円ほど。自営業者らを念頭に制度設計されたが、今や働き手の4割を占める非正規労働者の多くも対象となる。  

政府はこれまで、厚生年金の対象者拡大などの対策を進めてきた。一方で今年から、自分で掛け金を出して運用し、公的年金に上乗せして受け取る「個人型確定拠出年金」に原則みんな入れるよう制度を改正。「自助努力」も促す。

 

公的年金だけでなく、個人型確定拠出年金、イデコ(iDeco)の制度もあるから、国民年金だけの自営業の人は、上乗せを考えてね、ということです。自営業の場合は、会社負担とはならないので、確定拠出年金も全部自分で払うことになります。 

 

制度があることを知らないで、滞納し続けている人を放置しないように年金の問題があったら、「生活が苦しくて年金保険料が払えない」、だけでなく、マスコミには免除や猶予の制度があることをひつこいほどに報道してもらいたいものです(できれば、取材した人に対しても教えてほしい)。