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積立NISAの意見交換会と、NISAの現状

マイナス金利だからこそ、投資をする人を増やす

金融庁の方が直接説明していただけると聞きまして、積立NISAの勉強会に行ってきました。

 

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現行のNISAとは、選択、となる予定ですが、積立NISAの創設を金融庁として要望を出していることは、報道などでも知っている方がいらっしゃることでしょう。

 金融庁のページより

金融庁の平成29年度税制改正要望について:金融庁

 

今回の勉強会で配られた資料も上記のものからピックアップしたものでした。

 

 この中で、私は「少額からの積立・分散投資の促進のためのNISAの改善」が金融庁の方にとってぜひとも、実現させたい、本丸ではないかと思うのです。多くの人が使いやすいNISAにするには改善が必要です。

 

今まで、積立NISAは報道された範囲でしかわからなかったので、今回、参加させていただいて、少しは身近に感じることができました。来ていただいた金融庁の方や、この勉強会の段取りをしていただいた方々には感謝したいです。

 

それで、現行のNISAと、今回、要望中の「積立NISA」の違いなどを中心に、私の復習もこめて、書いて行きたいと思います。

現行のNISAからみる問題点

 

現行のNISAに関しての現状は、以下の資料が詳しいです。

 

日本証券業協会サイトより

NISA及びジュニアNISA口座開設・利用状況調査結果について | 日本証券業協会

 

上記、金融庁の資料と日本証券業協会の資料からわかるように、現行NISAは、開設しているのに、一度も買い付けを行っていない非稼働口座が半数にもなります。半分が口座開設していながら、寝かせているのです。

 

さらに、かすかに増加しているとはいえ、NISA口座内での積立投資契約数1割以下です。

 

さらに、現行NISA自体も、投資経験者の割合が約1割程度から徐々に増えて、最新の統計では、2割5分くらいにはなっていますが、いまだに、投資の経験者が多いです。投資は、投資好きのヲタだけのものではないのです。投資の裾野を広げるにはどうしたらいいのか?

 

長期の投資で、積立NISA

それにはやはり、投資に対するイメージ、投資は怖いもの、儲かる人はごく一部で負けるのが当然、元手となるお金がたくさんないとダメ、毎日株価をチェックしていないといけない、というイメージを変えないといけませんね。それを克服するには、投資する商品の分散とともに、時間を味方につけるという長期分散が必要です。

 

長期分散のメリットについては、上記の金融庁のPDFの6ページをみるとわかります。100万円が5年後では、72万円から173万円の範囲内になっています。100万円が72万円ですから、損している人がいるのですね。しかし、20年というスパンでは、100万円が185万円から321万円の範囲内になっています。

 

これは、投資をはじめたスタート時期も見る必要がありますが、以前、ご紹介した『はじめての人のための3000円投資生活』でも書いてありましたが、市場が暴落しても辛抱していれば、短い時で3年、長くても10年待てば回復してくるとのことでした。このように長期で、コツコツを積立していけば、それほど「怖い」ものではないのです。

 

yukajimu.hatenablog.jp

 

現行NISAは、5年というしばりがあるので、どうしても短期向けになってしまいます。

それは、現在NISAのデメリットとして言われている損益通算ができないということで、5年以内に儲からないといけない、ということになってしまいます。

 

もちろん、現在NISAを20年にすればいいではないか、現在NISAでも積立できるし、という意見もあるでしょう。しかし、非課税ということを考えると、今の金額で20年にしてくれるかどうか?

 

時間を味方にした長期分散という、リスクを減らす面からも、やはり、「積立」という縛りがあったほうがかえっていいのではないかと。

 

金融庁の方には、商品も、なるだけ限定してもらうように考えていただいて、投資初心者が使いやすいものにしていただきたいです。また、手数料で儲けられない、と金融機関が及び腰でしたら、積立NISAが決まった暁には、ぜひとも、周知活動を頑張っていただきたいと思います。

 

今まで投資をしたことがない人にもやってもらう(裾野を広げる)には、上記でも紹介した『3000円投資生活』のような少額だけど、長期でコツコツ、を目的とした「積立NISA」こそ向いているのではないかと思うのです。

 

積立なら、DC、確定拠出年金もあるではないか、という人もいることでしょう。これもいいのですが、年金を補完するという目的のため、原則、60歳以降でないと引き出すことができないというデメリットがあります。この点で、「やる」ハードルも高くなりそうです。

 

さらに、個人型確定拠出年金には口座維持手数料がかかります。国民年金基金連合会に払うだけでなく、金融機関にも払います。それでなくても投資をするには、運用中の信託報酬手数料もかかるのです。確定拠出年金の企業型なら、口座維持手数料は会社が払ってくれるのかもしれませんが、個人型の場合は特に、このような口座維持費用がかかることも忘れてはいけませんね。

 

現在、専業主婦向けに、来年から個人型確定拠出年金をやりましょう!とネットの記事を見かけますが、専業主婦の場合、小規模企業共済等掛金控除という所得控除を使えないといいいますか、使っても所得税を払っていないので、意味がないといいますか、確定拠出年金の3つのメリットのうちのひとつがあまり意味のないものとなっています。

 

この所得控除が使えると、その分、投資のリスクが取れる、という面もあるのですけどね。

 

とにかく、個人型確定拠出年金は、口座維持費用がかかること、原則60歳以降の引き出し、小規模企業共済等掛金控除であることを踏まえたうえで、個人型確定拠出年金にするかどうか、専業主婦の方は考えないといけません。専業主婦の場合、積立NISAが実現となれば、そちらを選んでやってみようと思う人もいるはずです。

 

話が専業主婦のことになってしまいました。専業主婦が投資を始めるには、ということは他にもネットでいろいろと探すことができるかと思います。

 

とにかく、積立NISAが実現して、投資の裾野を広げてもらい、投資やお金について勉強する人が増えてきてくれることを願っています。勉強することで、財産形成に役立て、日本の所得全体が伸びるようにです。さらには、ひとりひとりがお金のことに関して人任せとか、銀行の相談窓口の人に、丸投げなんてことのないように、です。

NISAの利用状況などについて総合的な制度の効果検証

 NISA制度は、平成26年1月から始まって、もうすぐ丸3年になるということです。

以前のNISAに関するブログに、その後出てきた現状の調査結果のことを追記いたします。

 

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金融庁のサイトにNISAの利用状況や商品内容などについて制度の効果検証を実施したとのことが書いてありました。

 

制度開始から2年を経過したことを踏まえ、NISAの利用状況や販売されている商品内容及び販売態勢等について総合的な制度の効果検証を実施しました。 

 

平成28年10月21日付け金融庁のページより

 

NISA制度の効果検証結果の公表について:金融庁

 

NISA制度については、金融庁も制度を改革していこうという姿勢があるようです。

何事もやりっぱなしはよくないですから、まず、やってみてPDCAです。チェックして、改善です。

 

NISAの現状は、「50歳代以下の割合は、依然として半数に満たないものの、徐々に増加」ということで、若い人にも徐々に増えてきているようです。

 

ただ、20代、30代の中には最近話題の確定拠出年金のほうで投資をしているので、という人もいることでしょう。逆にいえば、60代、70代のNISAのメインっぽい世代は、確定拠出年金の箱に入れることができないのですよ。

 

NISAはかなり金融機関も宣伝していましたから、興味をもった若い人が増えたことはいいことです。どういう制度なのだろう、ということから、投資に興味を持つ人もいるはずですからね。

 

勉強会でも、別の場所でも話題になったのですが、NISA口座を開いたもののやっていないという、非稼働口座も半数以上ありまして、それが指摘されていますが、時期をみている人もいるかと思うので、とにかくやれやれ!というのもどうかなと。

 

稼働口座においては、どれくらいの金額かといいますと、「金融商品の平均購入額は74.6万円」とのことでした。

 

今のNISAは、非課税枠が120万円ですが、平成26年、平成27年の枠は、100万円でしたからね。なんだかかなり以前に、非課税投資枠が120万円までと増額になりました!という話を聞いたと思っていたのですが、今年からだったのですね。月日の経つのは早いもの。

 

「NISA口座開設数及び買付額の推移」については、上記ページからダウンロードできる資料に書いてありました。

 

それにしても、検証結果のところに以下のように書いてあったのは、良かったです。

平成26年勘定での保有に係る金融商品については、NISA利用者の60%以上が、利益が出た又は出ている旨を回答 

成功体験は大事。

 

やってみたものの失敗したよ、という人が過半数越えしてしまうと、それを聞いた人が投資は怖いになってしまいますからね。逆に、成功した人が周りにいれば、それじゃオレもやってみるかなと思うようになりますよね。

 

それと、NISAは利益が出たら、確定したいといいますか、損益通算できないので、そうなってしまうからなのでしょうね。それは株式だと顕著に出るだろうと思いましたら、やはり以下のような記載がありました。

 

最も売却率が高いのは株式(40.9%)で、ETF(35.8%)、REIT(33.9%)が続く 

 

株式の場合、利益が出たら今のうちにと、売るでしょう。それに対して、投資信託はずっと持っている割合が高いですね。

 

それと気になるのが、これです。

NISA口座において投資信託の保有意向期間を「5年以上」とする者の割合は、証券口座一般における割合よりも低い傾向 

 

短期売買というよりも、長期分散投資がリスクが低いのですけどね。以前に書いた『3000円投資生活』の本でも、そこは強調していました。

 

保有意向は一般より短いというのは、5年という枠が足かせになっているようです。そういうわけで、積立NISAの登場、となるといいのですが。

 

同じ日、金融庁のページには、このようなものも公表されていました。

 

「国民のNISAの利用状況等に関するアンケート調査(2016年2月)」-結果報告書-の公表について:金融庁

 

 こちらは、かなり資料が多く、また老眼にはキツイ小さな文字もありましたので、ゆっくり見ていきたいと思っております。

 

ご興味のある方は、ダウンロードして見てみるといいですよ。