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埼玉のファイナンシャルプランナーのブログ

ファイナンシャルプランナー用雑記帳、専門家の視点で気になったことを書きます



確定拠出年金(企業型)について確定給付年金の違いなどー企業年金のあれこれ

確定給付型の企業年金、確定給付年金

企業年金のあれこれ、確定給付年金からです。

 

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やたら、最近見かけることが多い、確定拠出年金とは違いまして、給付が確定している確定給付年金です。拠出のほう、お金を出す金額が確定しているのが、確定拠出年金です。あまりにもざっくりとした説明ですが。

 

あらかじめ、給付額が決まっているので加入者からは老後の見通しがたてられやすいのですが、支払う側としては今のような低金利時代になりますと、運用の低迷などありまして、積立水準が下がる場合、支払う側とすると追加拠出をしなれければならなくなり、運用に対するリスクを負担しなれければならないという点があります。

 

この確定給付年金ですが、厚生年金基金の受け入れ先として考えられたように思います。もちろん、廃止となった適格退職年金制度の受け入れ先としての存在もありますが。

 

厚生年金基金や、今はない適格退職年金よりもより柔軟な制度設計ができるとされていました。厚生年金基金、適格退職年金の受け入れ先として考えられたからでしょうか。退職金としての役割りもあります。

 

なお、確定給付年金は厚生年金基金とは違い、代行部分はありません。

給付の種類と算定方式

給付の種類としては、老齢給付、脱退一時金、障害給付、遺族給付があります。

老齢給付ですが、給付開始年齢に至ったことで、年金給付を行うものです。年金の給付期間は5年以上です。年金の受給資格を得るまでの期間は20年以下となります。25年とかしてはいけないのですね。給付開始年齢は規約で決めますが、原則、60歳から65歳になります。本人の選択で、一時金としての給付も可能です。

 

脱退一時金は、加入期間3年以上の期間がありながら、年金受給資格が得られないで脱退した人に出ます。

 

障害給付は、加入者が高度障害になった場合に給付することができる、となっています。遺族給付は加入者が死亡した場合に給付することができるとなっています。

 

給付の算定ですが、給与比例方式、定額方式、ポイント式、キャッシュ・バランス・プランがあります。

 

このうち、キャッシュ・バランス・プランは平成14年より始まった新しい給付算定方式です。厚生年金基金の加算部分、確定給付年金にて認められています。バランスとは残高という意味です。

 

確定給付と確定拠出の両方の特徴を併せ持つものと言われています。加入者ごとに仮想の個人勘定を持ちます。いわば、積立預金をやっているようなイメージです。

 

ただ、給付額は掛金と利息の元利合計となります (拠出クレジットと利息クレジットの累積額)が、その額が個人勘定にあるわけではなく、仮想の計算上の額となります。仮に、実際の積立金が不足していれば、その分を企業が負担することになります。この点が確定拠出年金と違っていることです。確定拠出年金なら、加入者ごとに個人勘定をもち、その中で自分が運用を行った結果の積立金額が給付金額になるので、従業員の自己責任となりまして、企業が負担することはありません。

 税法上の取り扱い

掛金は企業が負担しますが、規約で定めた場合は加入者の同意を得たうえで加入者拠出も可能となります。

 

事業主拠出部分は全額損金算入です。加入者負担部分は、生命保険料控除(個人年金保険料控除)として所得控除ができます。

 

加入者すなわち従業員のほうでは、生命保険料控除になるのですね。この点が意外だなと思いました。加入者の掛金は、厚生年金基金の場合は、社会保険料控除ですし、確定拠出年金なら小規模共済等掛金控除となりまして、どちらも全額控除です。しかし、生命保険料控除(個人年金保険料控除)ですと、上限があって、年間4万円の控除限度額となるのです。

 

それと、厚生年金基金と確定給付年金は加入者自身が掛金を決めるのではなく、規約で定められた金額を出します。それに対し、確定拠出年金は、まず加入者拠出をするかどうかも決められますし、その金額も法律上の上限はありますが、自分で決めることができます。

 

さて、老齢給付として給付受け取り時の税制としては、一時金受け取りの場合は、退職所得として退職所得控除が適用されます。年金受け取りの場合は、雑所得として、公的年金等控除が適用となります。

 

企業型のほうの確定拠出年金と比べる

 

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確定給付年金は、今やたらと目につくようになった確定拠出年金の企業型とよく比べられます。

 

確定しているのが、給付なのか、拠出なのかです。

 

確定給付年金は、あらかじめ決められているのが年金額であり、あらかじめ決められているのが拠出額となるのが確定拠出年金です。なお、企業型の確定拠出年金は企業が掛金を拠出します(個人型確定拠出年金は、自分でお金を払って積み立てますね)。

 

まず、確定給付型と、確定拠出年金の企業型を比べます(個人型とはちがいます)。

 

給付額について

確定給付年金

企業が、賃金、勤務年数などから将来の年金額を約束する

確定拠出年金

企業は年金額を約束しない。従業員である加入者が自分でおこなった運用成績によって額が決まる

 

運用リスク

確定給付年金

企業などが運用するので、運用リスクは企業が負う

確定拠出年金

運用は、加入者である従業員が行うので運用リスクは加入者自身が負う

 

加入者の運用知識

確定給付年金

加入者の運用知識は不要。企業の加入者に対する投資教育は義務なし

確定拠出年金

加入者の運用知識が必要。企業の加入者に対する投資教育の義務あり

 

退職給付債務

確定給付年金

あり

確定拠出年金

なし

 

退職給付会計上の積立不足

確定給付年金

発生する

確定拠出年金

発生しない

 

資産の管理

確定給付年金

資産を一括して管理

確定拠出年金

個人ごとに資産を管理

企業型確定拠出年金について

企業型確定拠出年金について簡単にまとめます。

 

最近は、確定給付年金よりは、確定拠出年金(企業型)を導入する企業が増えているようです。

 

まずは、確定拠出年金規約を定めます。規約には、加入対象者の範囲、掛金額の設定、提示する運用商品の種類などを決めます。この規約は労働組合、または従業員代表の同意を得て作成し、厚生労働大臣の「承認」を得ます。承認を得た規約は、その内容を従業員に周知しなければいけません。

 

加入対象者の年齢ですが、60歳未満の厚生年金保険の被保険者です。規約にさだめていれば、60歳以上、65歳以下でも加入できます。一定の年齢未満の従業員のみ加入できる、とする規約は原則認められませんが、50歳以上の従業員の場合、運用期間が短いなどの理由から、50歳以上の年齢で区切って、この年齢以上の者は、加入対象者にしないこともできます。

 

もちろん、希望者のみ加入、と規約に決めることもできます。一定の職種、例えば事務職のみ、営業職のみと定めることもできますが、就業規則や労働協約で、他の職種と区分けがされている必要がありますし、他の職種と差別的となってはいけません。経営者が気に入っている人だけ、のようなことはできないのですね。

 

掛金額は企業だけが出す場合と、従業員も出すことできる場合(マッチング拠出)とがあります。

 

企業のみが拠出する場合、他の企業年金(確定給付年金、厚生年金基金など)をしていて加入者もそれに加入している場合は、月額27,500円(年額としては33万円)までです。他の企業年金をやっていない会社では、月額55,000円(年額66万円)までとなります。

 

マッチング拠出の場合は、まず、上記の年額の制限があったうえでの話になります。企業が拠出する金額より多く個人が出すことはできません。例えば、他の企業年金をやっていない会社の場合、月額25,000円を会社が出すとなっている時、加入者のほうは、25,000円以下となるのです。枠が55,000円となっているから、加入者が30,000円拠出したくてもできません。

 

参考:厚生労働省のページより(改正法施行後は変わります)

確定拠出年金の対象者・拠出限度額と他の年金制度への加入の関係 |厚生労働省

 

運用は加入者個人がおこないますが、投資教育も必要です。導入時の教育は事業主の努力義務となっています。

 

改正以前は、元本確保型の運用商品を少なくとも1つは示すことが義務となっていましたが、改正後はリスクやリターンの特性が異なる運用商品を3つ以上提示すること、に変わりました。

 

 

厚生年金基金と厚生年金保険の違いがわからない人多し

最後に厚生年金基金についても

 

厚生年金基金といいますと、すぐに言われること。

 

それって、厚生年金保険とどう違うの?

 

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特に、厚生年金基金解散とか、厚生年金基金破綻とか報道されますと、ますます年金は払ってもダメだろ論調が増えます。しかし、それを読んでみますと、厚生年金保険と混同していたりするところをみますと、世間的には、厚生年金保険(こちらは公的年金)と厚生年金基金は、同じように思われているようです。

 

厚生年金基金は、企業基金なのであります。あまりにもややこしい名称ですからね、仕方がありません。

 

それに対して、厚生年金保険は、国がやっている公的年金です。厚生年金基金のほうは、あくまでも企業独自のものです。

 

厚生年金基金の解散ラッシュについては、ここでは取り上げず、たんたんとどんな企業年金なのかについて書きたいと思います。

 

厚生年金基金は、企業年金の中でも大きく分けて、確定給付型と、確定拠出型に分かれるうちの確定給付型のほうになります。

 

そもそも歴史的には企業年金制度は、この厚生年金基金と適格退職年金がありました。

その後、確定拠出年金(企業型)とか、確定給付企業年金ができました。

 

平成24年3月末をもって、適格退職年金は廃止もしくは、他の企業年金へ移行となりました。この適格退職年金制度がなくなるということに関しては、いろいろと問題があったようです。節税対策として利用されたとか、情報開示が不十分だったとか。

 

それに対し、厚生年金基金はずっと残っていたのですね。

厚生年金基金について

とにかく、厚生年金基金についてかきますと、歴史は古いのです。

昭和41年からあった企業年金の代表的存在なのです。

 

厚生年金基金について学びますと、面白いことに「代行部分」という言葉がでてきます。

 

企業年金なのですが、厚生年金保険の老齢厚生年金の給付の一部を国の代わりに行う(すなわち代行)とともに、企業独自の部分を加算して給付を行っているという変形型なのです。

 

一部とはいえ、国のものも入っているからややこしい。基金側からすると、国のお金も一部入ったうえで、企業年金の上乗せ部分のお金とあわせ運用できます。

 

だから、厚生年金基金に関する報道をみますと、「代行返上」なる言葉がでてくるかと思います。これは国に返上するという意味です。

 

老齢厚生年金の一部を代行していますが、「代行返上」の場合、厚生年金基金から他の企業年金に移る時には国に返上しないといけないのですね。国のお金ですから。そしての頃に上乗せの加算部分を新しい企業年金制度に移行します。

 

 基金の中には、代行割れといいまして、国にお金を返すことすらままならない基金もでています。バブル期は、潤沢なお金だったのに、いまや基金は立ち行かなくなっています。金利もますます低くなり、運用難なのです。

 

なお、「解散」と「代行返上」の違いですが、企業年金連合会にページにはこのように書いていました。

 

よくあるご質問年金Q&A|企業年金連合会

厚生年金基金を解散した後に確定給付企業年金や確定拠出年金を導入することとは異なります。従って、「代行返上」といわれるのは、厚生年金基金から確定給付企業年金へ移行する場合だけです。

 

代行返上は、代行部分を国に返して、加算部分は確定給付企業年金に移行しないといけないのですね。代行部分は国に返したのだから、その部分は国からもらう(実際の手続きは年金事務所)。上乗せの加算部分は、新しい確定給付企業年金の制度からもらうことになります。

 

厚生年金基金の行く先としては、厚生年金基金の解散後は、確定拠出年金(企業型)へ移行したという話も聞きます。

 

暗い話ばかりになっていますが、基金を解散する場合、

1,代議員の定数の4分の3以上の多数による議決

2,基金の事業の継続不能

3,厚生労働大臣による解散の命令

のどれかによります。代議員の議決前には受給者に対して十分な説明義務があります。

 

ただし、2019年までの解散促進期間に限り、総合型厚生年金基金には優遇措置が儲けられています。

まず、基金の代議員会で決議をします。解散には、厚生労働大臣の認可が必要ですが、それには、全加入企業の3分の2の同意、加入員総数の3分の2の同意が必要です。これは本来、4分の3の同意が必要なのですが、解散促進期間にかぎりゆるやかになっています。本来は、4分の3だけど、優遇措置となっているのですね。

 

基金としては、

1,厚生年金基金のまま存続する

2,代行返上して企業年金基金となる

3,解散する

の選択肢があります。

 

ただ、改正法施行後5年経過後から、厚生年金基金の存続が認められる健全基金の要件は、最低責任準備金の1.5倍以上の純資産を維持している、もしくは、最低積立基準額以上の純資産を維持している、のどちらかを満たしていないと、存続が認められなくなります。

 

最低責任準備金とは、代行部分の給付に必要な純資産のこと。最低積立基準額とは、代行部分プラス上乗せ部分、の全体の給付に必要な純資産のこと。

 

それで今、解散ラッシュとかネットで見かけるのですね。

税金関係の取り扱いについて 

支払い時

厚生年金基金の掛金ですが、事業主負担分は、全額損金算入できますし、従業員(加入員)負担分は社会保険控除ができます。

 

受け取り時

老齢給付としては、一時金として受け取る場合は、退職所得控除が使えますし、年金として受け取る場合は、雑所得、公的年金等控除が適用になります。

 

途中で転職などして会社を離職した人は、基金加入10年以上の人で、受給権がすでに発生しているならば、加入していた基金から支給されますので、支給漏れがないように気をつけましょう。元の職場の総務、給与担当に聞くとか、その基金に聞くといいです。

 

基金加入10年未満で受給権が発生していない場合、年金は企業年金連合会から支給されます。私は、厚生年金基金に入ったことがないのですが、知り合いに頼まれて、企業年金連合会に代わりに聞いてあげたことがありますが、けっこう、本人でないと答えられないとか言われまして、結局、郵送で書類を送ってもらうことになりました。

 

なお、平成26年以降は、企業年金連合会への代行部分の資産移換ができなくなり、厚生年金基金本体で管理することになっています。

 

上乗せとしての企業年金である厚生年金基金なのですが、これからは国の年金にプラスしての上乗せ年金としては、おそらく確定拠出年金のほうに移っていくのでしょうね。