FPの実践ブログ

スマホでの少額から始める投資(ワンタップバイ)、新しい技術(仮想通貨)、新しい製品、ドローンなど好奇心の赴くままを書きます。Amazonなどのプロモーション記事が含まれます

このブログにはプロモーションが含まれています。

誤解が多い離婚時の年金分割制度

年金分割制度は2種類あり

前回のブログで、年金は夫婦で考えるようになっていて、なるべなら、妻も働いて年金額を増やそうということを書きました。

 

f:id:rumimarusr:20160619185134j:plain

年金だけでみますと、夫婦のままでいることが一番いいのですが、年金のために離婚しないというのも(逆に、年金のことだけ考えて離婚するのも同様)、変な話ですので、とりあえず、概略を書いておきます。

 

離婚時の年金分割制度については、始まったばかりの頃は、夫の年金半分もらえると勘違いしている人もいたようです。

 

けっこう、複雑なのですよ。

 

夫より稼ぐ妻の場合は、年金分割制度では逆に夫に渡すことになるかもしれません。

 

まず、最初に夫の年金すべてが対象ではないことです。

 

年金は2階建て、3階建てと言われますが、1階部分の基礎年金部分は分割されません。そのため、ずっと自営業で国民年金保険料を払っていて、2号被保険者になったことがない夫の場合は、年金分割できません。

 

厚生年金の報酬比例部分だけが対象です。さらに、婚姻期間の部分のみです。独身時代は、含みません。婚姻期間中の厚生年金記録の分割、なのです。

 

どうですか。思ったよりも、分割できる部分は少ないことがわかりますよね。

 

では、2種類ある年金分割とは何でしょう。

合意分割制度

話し合いで、報酬比例部分の半分を上限に分割する方法です。半分が上限なので、中には、5:5ではなく、6:4ということ(按分割合)もありえます。

 

お話し合いで決めますので、双方の合意によって按分割合を定めます。合意できない場合は、裁判所が按分割合を決めることもあります。

 

妻にも婚姻期間中の厚生年金記録がある場合は、それも入れて按分します。そのため、妻のほうが高収入ですと、妻から夫に年金を渡すことに(本来は記録を渡すことに)なります。

 

請求期限は、離婚をした翌日から2年以内です。

 

さらに、合意分割の請求が行われた場合、その婚姻期間中に専業主婦などで3号だった「3号分割の対象となる期間」がある場合は、合意分割と同時に3号分割の請求があったとみなされるので、3号分割の対象となる期間は、3号分割をした後に加えて、合意分割による標準報酬の分割も行われます。

 

では、その3号分割とは何でしょう。

 

3号分割制度

3号分割制度とは、3号被保険者(専業主婦など。専業主夫の場合は、以下、夫を妻に読み替えてください)で、平成20年5月1日以後に離婚をした人の場合、第3号被保険者の側からの請求(すなわち手続き)によって、平成20年4月1日以後の婚姻期間中の3号被保険者期間における夫の厚生年金記録を2分の1に分割することができるという制度です。

 

 婚姻期間の中で、平成20年4月1日以後の3号被保険者の期間中の厚生年金記録があることが前提となります。3号ではなかった、というのではダメなのです。

 

これは強制的に分割しますので、話し合いでとか、合意とかは必要ありません。問答無用ですね(とはいうものの、分割される夫が障害厚生年金の場合は、対象期間の3号分割は認められません)。しかし、請求手続きは、しないといけませんから、年金事務所に行く必要はありますよ。

 

何もしないで、年金が入るとは思わないでください。

 

あと、気をつけることは、いくら年金分割の手続きをしたからと言って、自分の年金が受給開始年齢になっていなければ、もらえませんよ。30代の方で、手続きをしたのにまだ、年金もらえないという人は、少ないですが、50代くらいですと、どうでしょうか。

 

離婚をして手続きをしたにもかかわらず、いまだにもらえないわ。夫が年金もらうようになったけど、私に年金が振り込まれて来ないと言う人がいるようですが、ご自分の年金受給開始年齢を調べて下さい。

 

さらには、ご自分の年金は、もらえるのかどうかも調べておくといいです。原則、25年以上、年金制度に加入しているのか。滞納していて、自分の年金がもらえるかどうかあやしいと思ったら、年金事務所でご自分の記録を確認です。

 

その他、事実婚の女性がいてそちらで夫が暮らしていたとか(重婚のようなもの)、その事実婚(戸籍上の本妻からみたら愛人ですが)の人が、3号被保険者になっていた、なんていいますと、もっともっと複雑になりますが、今回は、概略だけですので、これくらいにします。

 

個別具体的なことは、年金事務所で、記録を見ながら相談したほうがいいですよ。